RWが大切にするもの、目指すもの。

本題に入る前に、前提の確認をしておきましょう。
そもそも、Random Walkとはどんなものなのか?
(詳細は「Random Walkについて」をご覧ください)

●設立の趣旨

2010年10月のサークル始動から掲げられてる「設立の趣旨」は、変更されることのないサークルの根幹です。
「自由」がすべての土台であり、その上に「伝える」「楽しむ」「超える」という三本柱を据える。シンプルに言ってしまえば、こんな感じです。

なお、始動後しばらく「同人サークル」と言っていましたが、途中から「創作サークル」とするようになりました。
もともと世間一般で言うところの商業志向とは少し距離をとるサークルだったのですが、「自由な創作」の土台があればむしろ好きなものを選択できる形が理想形。ゆえに、「創作サークル」に落ち着いています。

●究極的な目標

「Random Walk の活動を通じて、いろんな人たちの隠れていた自由な発想を引き出す機会を提供できる仕組みをつくりたい!」と掲げていますが、「いろんな人たち」はRWメンバーも含んでいます。
そして、やはり何より大切なのは「自由な創作」

●活動基本方針

「良質な作品を多くつくる」「知名度を上げる」「メンバーを増やす」の3つを軸としています。
これらはRWの日々の活動の根底にあるものです。好き勝手自由にやっても自分たちを見失わないよう、立ち返れる価値観を明確にし、事あるごとに思い出し共有しています。

導入前、2018年3月までの流れ。

これまでの活動で段階的に「個人創作と集団創作の両立」というスタイルを確立してきました。
「個人創作」と「集団創作」の二つの系統が独立して存在しているのではなく、互いに相乗効果をもたらし高めあいながら、最終的にRWのレベルアップにつながるというサイクルです。

●2017年度は、HCP更新強化

2017年度のサークル活動で、もっとも力を入れていたのは「ヒビカ・シティー・プロジェクト(HCP)」
RWの特徴である「個人創作と集団創作の両立」というコンセプトを軸とした制作スタイルを、過去の積み重ねの末にもっとも適したバランスで具体化できているプロジェクトです。
HCPは、RWのスタイルをシンプルに端的に表現するもの。RWにおける「仲間募集」の流れの中にも組み込まれており、単なる一つのプロジェクト以上の役割を担っています。
2017年度は、これをより明確な軌道に乗せることが求められる状況でした。最低限の感触は掴んでいたので、そのまま軌道に乗るよう注力しました。
結果として、1年かけて質的にも量的にも充実させることができ、当初の目論見は達成されたと言えます。

●これまでの活動の蓄積

各個人の自由な創作スタイルを尊重しつつ、「ノンノ・リレイショー・プロジェクト」、「漫画制作ドキュメンタリープロジェクト」、「ヒビカ・シティー・プロジェクト」、「設定交換制作企画」などを通じ、集団として創作することの強みも活かしてきました。
他にも、WEBラジオ、電子出版、同人誌発行、雑誌制作、外部の方からの受注制作、即売会のサークル参加、取材旅行など。
外向きにプッシュしていないものも含めれば、本当に様々なことに手を出してきました。
RW主催ではないものの、横浜創作オフ会からも大きな刺激を得て、サークルとしてプラスの効果を感じます。

●“RWらしさ”の確立、そして……

分かりやすい創作活動以外に、「設立の趣旨」に掲げている「楽しむ」の追求もしてきました。
真面目で小難しい話から遠慮なく楽しむだけの時間まで、リアルで会って活動するサークルの強みも活かしつつ、様々な経験を共有し蓄積してきました。
そして、「RWらしさ」という共通の認識ができてきました。

これまでの期間で網羅したとは言えませんが、創作サークルとして、現状で可能と思える範囲のことはかなりやってきたという印象です。
「Random Walk」という名の通り、いろいろと寄り道をしながら我々は活動を続けてきました。
サークル理念を軸に多くのことに挑戦した結果、能力の向上だけでなく、向いているものといないもの、そこにかかる時間と労力、外部からの反応、得られる効果など、情報と経験を蓄積し、あらゆる“学び”に支えられて現在があると感じます。

●メンバー脱退

2017年度末(2018年3月)をもって、北村、堤が脱退しました。二人の脱退は事前に決まっていたことで、綺麗にキリの良い状況での脱退となりました。
そして、期せずして改めて連携を模索するまでもないと言えるメンバー構成となりました。

“いま”必要なもの。

いま一度、サークルの存在意義、究極的な目標に立ち返りましょう。
今までもできる範囲で「自由な創作」を楽しんできました。
しかし、より高いレベルで「自由な創作」を成立させたい。
現状に満足するのではなく「超える」というのもまた、サークルの基盤となる価値観です。
では、何が必要なのか?

●分かりやすい結果の獲得

これまでを振り返り、次のステージに上がるために必要なのは「知名度を上げる」の部分と感じます。これは言い換えれば「分かりやすい結果の獲得」ということになります。
「分かりやすい結果の獲得」と言うと「何をいまさら」と思われるかもしれませんが、RWとしてはかなり異色のスローガンです。これは、サークルとしてのアイデンティティに関わる話です。

「設立の趣旨」などで語られている通り、RWは「自由な創作」を第一の命題に据え、いわゆる商業志向と独特な距離感を保ってきました。
よって、RWに対する理解度が高い人には「分かりやすい結果の獲得」というテーマが、従来の活動理念に反するものに感じられるかもしれません。

●メンバーがプロになること

サークルとして「知名度を上げる」ためにもっとも強力な方法は、「メンバーがプロになること」。創作界隈に限定しなくても、一定の説得力を持てるようになります。
また、サークルとしてより高いレベルでの「自由な創作」を考えたとき、「より多くの時間やお金を、創作を主としたサークル活動に費やすことができる」という状態は、現実的に達する必要があります。
「メンバーがプロになる」は、この部分に対しても一つの取っ掛かりとなり得ます。
ただし、これは「サークル全体を商業志向にする」「メンバーはみんなプロを目指すべきである」というものではありません。それでは各メンバーの自由意思を尊重する「自由な創作」の大前提に反してしまいます。

●プロ・アマ混在の創作集団

目指すのは「プロ・アマ混在の創作集団」です。より正確に言えば「プロ・アマのどちらであっても存在意義を見出し共存できる創作集団」への進化
RWとしては、プロとアマに上下の概念をあてる気はなく、異なる特徴を持つ創作スタイルと捉えています。よって、「自由な創作」をうたう以上、どちらを選択するかは各自に委ねられるものと考えています。
そして、そのどちらを選んだとしても、RWの一員として楽しい創作ライフを満喫できるようにしたいと考えています。

いわゆる同人的な創作をするにしても、商業的な創作を知っているか否かの違いは大きいはずです。両者を知り、それぞれの特徴を考慮し選択できる“自由”は、RWとしても意味があります。

●目的ではなく手段として

総合すれば、「RWは短期的に分かりやすい結果をより重視した活動をするが、これらはあくまでその先にある究極的な目標に到達するための手段」ということになります。「分かりやすい結果」は、目的ではなく手段です。
この点に関する共通理解はとても大切であり、サークル内でもよく確認がとられました。ただし、これまで多くの時間を共にしてきており、RWに対する理解度の高いメンバーなので、あまり問題はありませんでした。
一方で、今後、新たにメンバーが加わる場合、その人にも可能な限り事の経緯を理解して欲しいと考えています。

●漫画制作メンバーのプロデビュー

以上の理屈をもって、2018年4月に「超結果重視型システム」が提案、採用されました。
そして、「メンバーがプロになること」を実現性と効果の面から考えると、漫画制作メンバー(遊木、霧島、米原の3人)のプロデビューが最も妥当な戦略ということになりました。

開始時点での漫画メンバーの状況。

遊木秋勇
  • 某雑誌(紙媒体)の担当編集付き。
  • 商業誌の受賞歴なし。
霧島凜
  • 担当編集なし。
  • 商業誌の受賞歴なし。
米原のぞみ
  • 某雑誌(ウェブ媒体)の担当編集付き。
  • 商業誌の受賞歴なし。

「超結果重視型システム」とは?

「超結果重視型システム」とは具体的にはどのようなものなのか。普段とは何が違うのか。その中身を見ていきます。

「超結果重視型システム」が目指すのは、シンプルに「漫画メンバーが分かりやすい結果を出すこと」。それをバックアップすべく、システム適用期間中、サークルにおいて以下のような活動指針が導入されることになりました。

① ミーティングを、個人重視の内容にする
(漫画メンバー向けに特化)

今までミーティングでは多種多様な題材を扱ってきましたが、当面は、各漫画メンバーの制作に対し直接的にサポートできる内容を主として組むこととします。
一方で、外出系ミーティングやレジャーは維持。視野を狭めないため、メリハリのある活動をより心がけることとします。

②「ミーティング議長持ち回り制」の一時撤廃
(議長は須々木で固定)

「議長持ち回り制」により、各議長の色が出てミーティングの多様性が保たれていた面があります。しかしながら、議長を務めるのも一定のエネルギーを消耗します。そこで、漫画メンバーは当面、議長の負担をなくし、そのぶん漫画制作に注力してもらうことになりました。
なお、「議長持ち回り制」の復活は、状況を見て判断することとします。

③ 外部向け宣伝の縮小
(宣伝等広報活動の割り切った省力化)

サークルの価値観として「伝える」ということは重視されています。しかし、一定の効果を期待できるレベルで発信し続けることは、ある程度の労力を必要とします。そこで、システム適用期間中は、この労力も漫画制作にあてることにします。
これまでの継続的な活動の積み重ねにより、多少発信のレベルを下げたからといって、いきなり忘れられることはないだろうとの判断です。また、横浜創作オフ会が安定的に開催されることで、最低限外部とのリンクは保たれると考えました。

④ ブログの月2回更新(最低限の活動アピール)

前項のとおり発信レベルは下げることとなりましたが、まったく発信しないというのは流石に厳しいので、各自、月最低2回のブログ更新だけは義務化します。
ブログは発信だけでなく、その時々の記録を残したり、自分の考えを言語化し整理したりするという役割もあり、重要度は決して低いものではありません。小さな蓄積が後の大きな財産になることも多いので、必要なルールと考えました。

⑤ 担当編集確保に繋がる機会の積極的活用
(担当編集の確保を目指して)

「プロになる」ということを考えれば、一番情報を持っているのはやはり商業の第一線を知っている漫画編集者。そのような人たちと密にアクセスできる状況の確立は優先されます。
使えるものは最大限使い、それぞれに適する担当編集を確保することが大切です。昨今、商業漫画においても人材確保にネットを活用する割合が高まってきており、うまくチャンスにつなげたいです。また、当然ネットだけでなく、COMITIAの出張編集部などの機会も大切です。

当面の優先事項。

「超結果重視型システム」開始時、各メンバーの状況や希望を踏まえ、サークルとしては以下のとおり優先事項が定められました。

① 霧島が担当編集を確保する。

この時点において、漫画メンバーで唯一担当編集がいなかったため。担当編集を確保し、結果を出すまでにできるだけ無駄足を踏まないようにする戦略です。

② 遊木が「クラウン」の連載を軌道に乗せる。

遊木が力を入れて取り組みたいと考えていた漫画「クラウン」を軌道に乗せ、本作をきっかけに商業への道を開きたい。求められているものに寄せるより、自分の強みをプッシュし突破口を開く戦略です。

③ 米原がベストの担当編集を確保する。

この時点で担当編集はいましたが、雑誌の傾向から考えて目指す方向とはかなりのギャップがありました。より適する雑誌の担当編集を確保したいです。

④ 遊木がベストの担当編集を確保する。

この時点で担当編集はいましたが、雑誌の方針から考えて目指す方向とは多少のギャップがありました。できればより適する雑誌の担当編集を確保したいです。

⑤ 漫画組3人が、自作で何かしらの結果を出す。

漫画メンバーの誰かが、商業誌において「連載確約」、またはそれに相当する結果を出すことを目指します。なお、担当編集の確保、読み切り掲載(プロデビュー)は、一つの成果ではありますが、あまり状況に変化があったとは見做しません。

終了条件。

「超結果重視型システム」は、「分かりやすい成果」をあげたとRWが判断した時点で終了するものとします。具体的には以下の3つのいずれかの達成を指すものとして、サークル内で整理されました。

  • Ⅰ:RWメンバーのいずれかが商業デビューし、商業連載もしくはそれに相当する状況に至る。
  • Ⅱ:RWメンバーのいずれかが自らの作品から直接的な収入を得て生活できる状況になる。
  • Ⅲ:サークルとしてより自由に利用できる拠点を確保する。

については、漫画アシスタント業(RWメンバー間でないもの)で生計を立てる場合などは該当しないものとします。また、を満たさずだけクリアする状況は、かなり可能性の低いものです。
ゆえに、現実的に考えればの達成をもって終了することが想定されます。

終了条件を満たさない場合、基本的にはシステムを継続していくものとします。明確な期限は設けませんが、可及的速やかに達するべく全力を尽くすこととします。
当初から1年以上の期間を見込んでいましたが、一方で、できるだけ短期の決着を目指しました。あくまで「超結果重視型システム」は、RWとしてはイレギュラーな状況であるので、早い段階で脱したいということでもあります。
また、各年度において総括をし、システムの妥当性を判断することとします。状況の変化等あった場合、より効果的に機能するよう調整をします。

乱歩酔歩