私は、癖のあるちょっと変なキャラクターが好きだ。今回の漫画でも、どえむだったり、猟奇的だったり・・と、一人一人にひと癖ずつ与えた。
その結果、キャラクターが勝手に動きまくり、思いがけない方向へ話は向かった。
彼らの性格に振り回されてしまったといえばそうなのだが、キャラクターが自然と物語を進めてくれるような感覚があると、自分でも納得のいくものが出来る。
それは、やっと自分が彼らの性格や個性を掴んだ瞬間だったのだと思う。自分で作ったキャラクターなのに、変な話ではあるのだが。
今回描いた物語は、ある男子高校生が、ちょっと歪んだ愛を与えてくれる「誰か」に恋焦がれ、妄想し、それが現実に・・そんなお話だ。
自分の理想を追い求める主人公だが、そうそう上手くはいかない。当初、オチで夢見がちな主人公に制裁をくわえてやろう!なんて思っていたのだが、それが本人にはご褒美だったらしい。
主人公に制裁を加えてくれた南波君の、それまでのあらゆる奇行、西さんのラスト直前までの扱いなどは、実はネームを描きながら思いつきで突っ込んだ要素ばかりである。正直物語中盤からはすべてその瞬間のひらめきでつくりあげたもの・・といっても過言ではない。物語をどう進めようかとじっと考えるのは不向きらしい。
いきあたりばったり感が否めないが、ともかく楽しく描けたし、キャラクターにも愛着がわいて、良かったと思う。主人公みたいなやつがホントにいたら嫌だけど(←)、彼のお陰で話が盛り上がったわけだから、一応感謝したい。
そして、今回の漫画は「漫画制作P」として記録をとり、皆で会議や合宿をして作り上げた。やはり作品を作る途中は何度も立ち止り、これでいいのかと悩んだ。そんな悩みを、同じ物作りをしている仲間と考え、意見をもらう。そのありがたさ、重要性を今回強く感じ、そういった意味では漫画は一人で描くものではないのだなと思った。
漫画を描く過程の記録をとるなんてこと、自分では絶対にやらなかっただろうし、すごくいい経験になった。
周りに感化されて頑張ろうとも思えたし、自分の未熟さを痛感できたのは、まわりで頑張っている人たちがいたからだ。
「一作品漫画を作る」という行為には、結構なエネルギーが必要だ。制作をしない、したことのない人に、漫画づくりの話をすると、それ程時間がかかるとは思っていなかった、とよく言われる。今回の企画を見て、どこかの誰かに新たな発見があれば幸いである。
そして、自分の好きに描いたものを誰かに読んでもらって、面白かった(まあいいヒマ潰しになった程度でも)と言ってもらえたら本当に最高だ。
あとがき
あとがき
あとがき
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